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あらすじ

出張から帰ってきた日

真冬は静まりかえったマンションの一室で

「こいつやりやがった」

と思った。

浴室には最愛の人の死体があった。

死んでしまった悟は真冬に語りかける。

「ごめんね」

そうは言っても、取り返しのつかないことだ。

真冬は現実を受け入れるのが得意なほうだ。

救急車が来るまでのあいだ、ふたりは語り合う。

悟は死んでしまったが

なぜか真冬の前から消えることはなかった。

彼の妹と真冬が会ったときも

部屋に空き巣が入ったときもにいた。

真冬はそれも、なんとなく受け入れた。

悟の亡霊なのか

はたまた自分の妄想なのかが

真冬にはわからない。

精神科にも行ったし寺を訪ねてみたりもした。

なぜか悟が見える人にも会った。

その存在がわかったようなわからないような

状況のなか、真冬と悟はとある亡霊と出会う。

真冬は面倒臭いと思ったし、

悟は成仏させてあげたいと願った。

それは自分の願いでもあるかもと思った。

ふたりの、悟が死んでからの共同生活は

思っていた以上に長く続いた。

けれど時間が止まることはなく、

彼らにも決意のときが訪れる。

悟は消えていくことを宣言した。

そして最後に真冬に願った。

「唄ってよ」

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